「発っちゃーん! …何見てんの?」
「お、これか? ……ほれ」
「…んー? ……あぁ! うわー、懐かしー!」
「だろ? 随分変わっちまったもんなぁ……ほら、こことか、今は無くなっちまってるだろ?」
「…あそこのお婆ちゃん、もう何年も前に亡くなっちゃったもんね…。あ!でも、逆にここなんて、ほら!」
「あぁ…昔は何も無ぇ空き地だったんだよなー、ここ」
「確かさぁ、ここで露店出したことあったよね。お客さん凄かったなぁ…」
「あー、俺もツケ払う代わりに肉体労働したよな…」
「…の割に今も払いきれてないけどね?」
「げっ…… あ、ここの甘味処も潰れちまったし」
「…スルーですか…。 ここのお団子、美味しかったのにねー…。あ、確か初めて発っちゃんに会ったのって、ココの前だったよね?」
「そうだったなー。……懐かしい、って思う時点で、もう『昔の事』になっちまってるんだよな」
「そーだねぇ…。だってそれって、発っちゃんが望ちゃんとか皆に会う前の事だしね。当たり前だけど…」
「げ…そう考えると相当昔じゃねぇか…!」
「だよねぇ…。もう、皆一緒に居るのが当たり前になってるし」
「………そー…だな…」
「…発っちゃん……?」
004.古い地図
「(俺も…大分歳とっちまったよなぁ……。周りが周りだから、イマイチ実感無かったけど)」
――否が応でも、君との住む世界の違いを実感させられる。
「(ま、それでも、この笑顔が変わらねぇんだから、それくらい我慢してやっか…)」
★あとがき