「ねーコーチ、何でコレ…?」
「だってそりゃ、本物でやるわけにはいかないだろ? 竹刀や木刀で剣の訓練するよーなモンさっ!」
「あー成程! でもさー、コレで本気出したら…逆に壊れない? こっちが」
「そこんとこは気にするなっ! 修行用なんだから消耗品だしな!」
「…分かった! じゃー壊すくらいの気分で行っきまーす!!」
「おう! 良く狙えよー!」
「ったぁ!!」
ヒュッ!!
――カカカカカッ!!
「おぉ。全部ど真ん中」
「やりぃ! …って……あーあー。やっぱ先っぽ欠けちゃった…しかも全部。使い切りかぁ…」
「…まぁ、もし本番があっても、岩なんか狙わないだろうし…いいんじゃないか? それでも」
「本番もコレで、ってこと?」
「あぁ。むしろその方が良いかもなっ! それでも攻撃力は十分だし、無駄なものを傷付ける心配も無いだろ? 代えを沢山持っていけばいいさ!」
「んー…コーチがそう言うんなら…そーするよ」
002.切れないナイフ
「(まぁ、この子くらいコントロールが出来てれば、本物でも無駄なものは傷付けないだろうけど…)」
――それでも、君にそんな物を持たせたくない。ただそれだけ。
「(元々護身用なのに……矛盾してるな…)」
★あとがき